滋賀県立大学の研究に関する方針の公表を受けての見解

「平和安全法制」(戦争法)に反対する滋賀県立大学有志の会(以下「当会」)は、2015年5月14日の「平和安全法制」(戦争法案)閣議決定と、同年7月16日の衆議院本会議での同法案強行採決を受けて、同年8月15日、滋賀県立大学有志の呼びかけにより発表した「『平和安全法制』(戦争法案)の撤回と廃案を求める声明」への賛同者の集まりです。呼びかけ人20人を含め、賛同者は171人になりました。

同じ2015年度は、防衛省による「安全保障技術研究推進制度」の初年度でしたが、京都新聞で既報の通り、滋賀県立大学においても応募が検討されました。幸い、教育研究評議会で応募の是非について審議に付され、反対意見を述べた委員も多かったことから、応募は見送った上で、このような応募の可否を判断する拠り所となる、理念、行動規範、実施上のガイドライン等を整備することになりました。

今年1月に公表された「滋賀県立大学の研究者の研究活動における基本理念」、さらに3月22日付けで公表された「滋賀県立大学の研究者の研究活動における行動規範」、「本学の研究理念等に抵触する可能性がある公募制度への応募等における可否判断基準および手続き」は、2015年度当初以来、2年近くの学内の議論の末にようやく公表されたものです。

当会では、防衛省の「安全保障技術研究推進制度」に象徴される軍学共同の推進は、戦争法の制定や武器輸出三原則の撤廃と地続きの問題であり、学術界における「戦争法」問題であると捉え、軍学共同反対連絡会などを通じて関連する全国の動きについて情報を収集するとともに、学内在職者を中心に、それらの情報や問題の所在を知らせ、意見提出を呼びかけるなどの取組を行ってきました。

3月22日に、「行動規範」「可否判断基準」が公表され、「学長談話」が発表されたことを受け、この間の取組を踏まえて、次のとおり見解を発表します。

見解(PDF) / 問題点と今後の課題(PDF)

「軍事技術研究」への応募しない 滋賀県立大が学長談話

「軍事技術研究」への応募しない 滋賀県立大が学長談話
http://www.kyoto-np.co.jp/top/article/20170322000153
京都新聞、2017年3月22日

滋賀県立大(彦根市)は22日、軍事技術に応用可能な研究を助成する防衛装
備庁の公募制度に、今後大学として応募しないとする学長談話を発表した。

同大学は今年1月、人類の平和を脅かす研究をしないことを記した「研究活動
における基本理念」を制定。さらにこの日、研究者の社会的責任を列挙した「行
動規範」と、公募制度に申し込む際に戦争や軍事への寄与を目的としないことを
確認する「可否判断基準」を公表した。

大田啓一学長は方針公表を受け、「三つの方針に照らせば、防衛装備庁の制度
を利用した研究は本学にふさわしくなく、大学として応募はできないものと考え
る」とする談話を出した。

県立大によると、学内研究者は他大学で行われる軍事関連の研究にも参加でき
なくなるという。

県立大では昨年度、「安全保障技術研究推進制度」への応募可否が学内で議論
されたことを機に、軍事研究の在り方について検討してきた。科学者の代表機関
である日本学術会議は今月7日、防衛省の公募制度について「政府の介入が著し
く、問題が多い」などと指摘し、大学の科学者が軍事研究をしないよう求める声
明案をまとめている。